2026年9月26日
生理前になると、イライラしたり、体が重く感じたりする。お腹の張りや腰の重さも重なって、いつもならできることが負担になる。そんな毎月の不調に悩んでいませんか。
自律神経の不調を専門とする亀有鍼灸治療院やさしあでは、PMSに対して骨盤内の血流に着目し、仙骨への棒灸や灸頭鍼を施術に取り入れています。
今回は、PMSと自律神経の関係、当院の施術、そして自宅でできる「仙骨まわりを温めるケア」をお伝えします。
PMSを自律神経の視点で捉えると
PMS(月経前症候群)は、月経前の3〜10日ほどに現れ、月経が始まると軽くなったり、なくなったりする心身の不調です。女性ホルモンの変動が関係しますが、原因は一つではなく、ストレスなど複数の要因が重なると考えられています。日本産科婦人科学会の解説
自律神経は、心拍や血管、消化などを、意識しなくても調整している神経です。交感神経と副交感神経が、その場の体の状態に応じて働きます。
PMSのある女性を調べた研究では、月経前に、心臓への副交感神経の働きを反映する、心拍変動の指標が低下していました。これは、PMSと自律神経の働きの変化に関連がある可能性を示すものです。ただし、すべての方が「交感神経が働きすぎている状態」とは限りません。PMSと自律神経に関する研究
やさしあでは、月経前の不調を考える際に、ホルモンの変動に加え、体の緊張や冷えにも目を向けます。PMSという症状名だけで一律に施術を決めず、その方の体の状態を踏まえて対応することを大切にしています。
やさしあでは、骨盤内の血流に着目しています
当院のPMSへのアプローチでは、骨盤内の血流を重視しています。そのための施術として用いているのが、仙骨への棒灸や灸頭鍼です。
仙骨は、腰の下にある三角形の骨で、骨盤の後ろ側の中央に位置しています。
仙骨に着目する背景には、骨盤内の臓器につながる自律神経との関係があります。仙骨の部分を通る神経には、副交感神経の線維が含まれています。これらは「骨盤内臓神経」として、膀胱や直腸など、骨盤内の臓器の働きに関わっています。骨盤の神経を調べた解剖学の資料
位置とつながりを簡略化した概念図です。
棒灸は、棒状に固めたもぐさに火をつけ、皮膚から離して温める方法です。灸頭鍼は、刺した鍼の柄にもぐさを付けて燃焼させ、温熱を加える方法です。
当院で行う灸頭鍼の施術風景。鍼の柄に付けたもぐさで温熱を加えます。
やさしあでは、体調や熱の感じ方に合わせて刺激を調整します。熱さを我慢する施術ではありません。生理前のつらさを和らげ、毎月の生活を少しでも楽に過ごせることを目指します。
当院では、これまでの臨床経験から、仙骨へのお灸が生理前の不調を和らげる助けになると感じています。その手応えを大切にしながら、一人ひとりの体の状態に合わせて施術に取り入れています。ただし、これは当院の臨床経験に基づく見解であり、副交感神経や子宮・卵巣の血流を介してPMSが改善する仕組みが、医学的に確立されたという意味ではありません。施術による変化には個人差があります。
当院の対応については、PMSの症状別ページでもご案内しています。
自宅では、入浴やシャワーで骨盤まわりを温めましょう
生理前に腰まわりの冷えや重さが気になる方に、当院では、入浴で骨盤まわりを温めるセルフケアをおすすめしています。ぬるめのお湯で体を温めることは血行を促す助けになり、気持ちを緩める時間にもなります。入浴とリラックスについて PMSのある時期を少しでも心地よく過ごすための工夫として取り入れてみてください。
湯船につかれる日は、40℃前後のお湯で
お湯は、40℃前後を目安に、骨盤まわりがお湯につかる姿勢で温まりましょう。
温かさの感じ方には個人差があります。数字に合わせるよりも、「熱くなく、心地よい」と感じることを優先し、熱ければ温度を下げてください。汗をかくまで頑張ったり、長湯をしたりする必要はありません。
時間がない日は、仙骨まわりにシャワーを3分程度
湯船につかる時間が取れない日は、シャワーで仙骨まわりを温める方法もあります。
- シャワーは40℃前後を目安に、心地よい温度で。実際のお湯を手で確かめ、自分に合う温度に調整します。
- 安定した浴室用の椅子に座るなど、楽な姿勢をとります。腰の下、骨盤の中央あたり(仙骨まわり)へ、弱めの水流でシャワーをやさしく当てます。
- 3分程度を目安に、心地よい範囲で温めます。短い時間でも構いません。
この「3分」は、当院が日常に取り入れやすい方法として提案する目安です。入浴や3分のシャワーでPMSそのものが改善する効果は確立していませんが、腰まわりを穏やかに温める方法として、冷えの感じ方や心地よさを確かめてみてください。
入浴でもシャワーでも、熱さやヒリヒリ感、のぼせ、めまいがあれば中止しましょう。皮膚の温度を感じにくい方や、医師から入浴の制限を受けている方は、先に担当医へ確認してください。
日常生活に支障がある場合や、月経が始まっても不調が続く場合は、婦人科にも相談しましょう。
やさしあでは、生理前のつらさと、その方の体の状態に合わせた鍼灸を考えます。「腰の重さが気になる」「冷えを伴う生理前の不調を相談したい」など、今いちばん困っていることをお聞かせください。予約・お問い合わせはこちらから受け付けています。
発信元:亀有鍼灸治療院やさしあ(東京都葛飾区亀有)
参考情報
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」:https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
- Matsumoto T, et al. “Altered autonomic nervous system activity as a potential etiological factor of premenstrual syndrome and premenstrual dysphoric disorder”(2007):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18096034/
- Goidescu OC, et al. “The Pelvic and Sacral Splanchnic Nerves – Identification by Dissection, Trajectory”(2022):https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9720663/
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」(入浴とリラクセーションの解説):https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004
